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横浜美術館「ドガ展」とマンテーニャ

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フィレンツェでの一日目はウフィッツィ美術館から始まった。予約窓口でCaravaggio Cardを入手し、早速入場口に向かう。相変わらず入口には長蛇の列だが、Cardの威力発揮ですんなり入場。まず、「Caravaggio e Caravaggeschi」展会場に急ぐ。しかし、ギャラリーから階下の展覧会場に行こうとすると、係員から、展覧会を観たらそのまま出口に向かわなければならない、と注意された。う〜む、常設展を先に観てしまったら疲れるだろうなぁ、と渋々逆戻りしてシエナ派の展示室へと向かった。渋々だなんてもったいなくも不遜な話だが(汗)、シモーネ・マルティーニ《受胎告知》はいつも通りの優美な輝きで私を迎えてくれた。

さて、久しぶりのウフィッツィ(常設展示)で今回改めて目を惹かれた作品が2点あった。ひとつはマンテーニャ《マギの礼拝》、そして、もうひとつはフーゴ(ヒューホ)・ファン・デル・グース《ポルティナーリ三連祭壇画》だ。

小説も絵画も読んだり観る度に違った側面を見せてくれる。鑑賞する自分自身がビビッドに反応するものは、多分その時の自分が求めている何かなのかもしれない。それと同じように美術館も訪れる度に自分の眼を惹く作品が違っていたりする。その時の自分の無意識な関心のあり方が反映しているように思える。今回はどうやらマンテーニャと北方ルネサンスだったのかな?(^^ゞ

ということで、アンドレア・マンテーニャ(Andrea Mantegna, 1431 – 1506)《マギの礼拝》から。


アンドレア・マンテーニャ《マギの礼拝》(1460-64年頃)

実はイタリアへ発つ前に横浜美術館「ドガ展」を観ていた。今回のドガ展は《エトワール》が目玉作品となっているようだが、私的に一番眼が喜び興奮してしまったのはドガの素描作品だった。《セラミス》のための習作シリーズは、ドガの古典絵画への傾倒と、恐ろしく緻密な素描力を見せ付けてくれた。
特に衣紋(ドレープ)の精緻な描写はルネサンス期の素描と言われても信じてしまうだろう。《跪く女性の衣紋の習作》など、衣襞が流れ留まるしなやかでしっとりとした絹の質感、纏う女性身体の存在感、その極限まで精緻な描写に凝縮したエネルギーが画面から強烈に伝わってきて、心臓がドキドキするほどの興奮を味わってしまった!


エドガー・ドガ《跪く女性の衣紋の習作》(1860-62年頃)

このドガの衣紋(ドレープ)素描を、図録ではレオナルドの素描に擬えていた。確かにルーヴルには衣紋習作素描作品も所蔵されている。しかし、ウフィッツィでマンテーニャ《マギの礼拝》の前に立った時、ドガはレオナルドと言うよりもマンテーニャなのではないか?と直感的に思ったのだ。もちろん美術ド素人の直感なので笑わないでね(^^;;;

マンテーニャの衣襞の流れの精緻な描写、そして跪く博士たちの身体の立体的存在感、衣紋の質感をも含め、ドガの原型がここにある!と思った。ウフィッツィにある数ある名作の中で「これだ!」と思えたのは、まさにマンテーニャ作品だったのだ。


マンテーニャ《マギの礼拝》(部分)

今回の「ドガ展」にはドガがルーヴルで模写したマンテーニャ《磔刑図》の模写作品も出展されていた。どうもドガはマンテーニャが好きだったらしい。だからと言う訳ではないが、確かに惹かれる要素が多い。

実は「ドガ展」を観た日、偶然オルセー美術館側の企画者フィリップ・ソニエ氏による講演会があり、「ドガとパステル」を聴講することができた。何故パステルだったのか?ソニエ氏は様々な要因の考察を語ってくれた。その中で記憶に残っているものを数点挙げると
・実家の銀行業が傾き、売り絵を描く必要ができた。
・油彩と違い、素早く枚数を描け、安価であるが故に売りやすい。(だが手抜きはしない)
・当時パステルの色数も格段に増え、昔流行したパステル画を復活させる意図もあり。
・パステルの絵肌がマットで、壁画(フレスコ画)好きのドガの趣味に合う。

この、フレスコ画好きのドガはきっとマンテーニャのフレスコ画も観ているのではないか?と、今回の旅行で思いを強くしてしまった。と言うか、希望かなぁ(^^;;;
なんだか、横道に逸れ続けたが、機会があれば「ドガ展」の感想をもっと書きたいと思う。


で、ウフィッツィで目が惹かれた2つめであるフーゴ(ヒューホ)・ファン・デル・グース(Hugo van der Goes, 1440-1482)の《ポルティナーリ三連祭壇画》は、やはりフィレンツェ・ルネサンスとは明らかに違う空気を醸し出していた。画面は光を宿しながらも、その几帳面なほどの緻密な質感描写と人物の硬さ、それなのに絵肌は滑らかであり、改めて、北方(フランドル)絵画だなぁ!と溜息をついてしまったのだ。


フーゴ(ヒューホ)・ファン・デル・グース《ポルティナーリ三連祭壇画》(1475年)

それは、まさにフィレンツェ・ルネサンスの花とでも言うべきボッティチェッリの優美な線の際立つ《ヴィーナスの誕生》や《プリマベーラ》と同室に展示されている故にその違いがはっきりとわかるのだ。当時のフィレンツェ人たちが驚きをもって眺めただろうことが容易に想像される。特に画家たちへの影響はかなり大きなものだっただろう。


ちなみに、ポルティナーリ夫人の衣装と帽子はベルリン国立絵画館のガイド本表紙を飾るペトルス・クリトゥス(Petrus Christus, 1410/1420-1475/1476頃)《若い女の肖像》(1470年頃)に似ていて、同時代に描かれたのがわかる。当時のフランドル流行ファッションがなんとなく粋なパリジェンヌ風なところも面白い(^^;

 
フーゴ・ファン・デル・グース《ポルティナーリ祭壇画(部分)》 ペトルス・クリストゥス《若い女の肖像》


ということで、本当にウィッツィは行く度に新たな気付きや観方を促してくれる。それだけの素晴らしい美の宝庫なのだよね。ということで、カラヴァッジョ作品も所蔵するウフィッツィ美術館での「Caravaggio e Caravaggeschi」展へ急ごう。

Wadsworth Atheneum美術館

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今回の横浜美術館「ドガ展」はオルセー美術館からの作品が主体になっているが、米国からのドガ作品も出展されており、その中でもワズウォース(ワズワース)・アシニウム(アテニウム)美術館(Wadsworth Atheneum Museum of Art)のドガ(Degas)《画家の従姉妹の肖像》(1865-68年)は意外で、旧知の友に偶然出遭ったようで嬉しかった。

2007年の米国横縦断(!)旅行ではコネチカット州ハートフォードにあるWadsworth Atheneum美術館も訪ねた。以前ブログでも紹介したミヒャエル・スゥエールツ(Michael Sweerts)《帽子の少年》(1655-56年)も所蔵しているが、何と言ってもカラヴァッジョ(CARAVAGGIO)《聖痕を受ける(恍惚の)聖フランチェスコ》(1595年頃)を所蔵していることで有名であり、私的にも思い入れの強い美術館である。


ワズワース・アシニウム美術館(Wadsworth Atheneum Museum of Art)ハートフォード

   
ドガ《画家の従姉妹の肖像》(1865-68年)      カラヴァッジョ《聖痕を受ける聖フrンチェスコ》(1595年頃)

で、もしかしたらWadsworth Atheneum美術館は現在改修工事中なのかな?こんな大判振る舞いするなんて!と思ったのは、Fさんから頂いた情報で、イタリアはリミニ(Rimini)の展覧会Wadsworth Atheneum美術館所蔵作品による「Caravaggio e altri Pittori del Seicento」展 を知った時だった。

10月23日から始まっているこの展覧会では、カラヴァッジョ《聖痕を受ける聖フランチェスコ》と共に、17世紀のカラヴァッジョからの影響の見られる画家たちの作品が出展されている。公式サイトで出展作品をチェックしてもらうだけでもWadsworth Atheneum美術館の充実ぶりを想像していただけると思う。
サイトではベルナルド・ストロッツィ、オラッツィオ・ジェンティレスキ、スルバラン、ヴァンダイク作品が紹介されているが、Wadsworthは他にもリベーラや、ホントホルスト、テル・ブリュッヘンなどのカラヴァッジェスキ作品も所蔵しているのだ。どの作品が今回来ているのかネット・チェックをしてみると、どうやらごそっと来ているらしい。あの《帽子の少年》も展示されるというから、まさにRiminiiへの引越し巡業というところだろう。

ちなみに、私がWadsworth Atheneumを訪れた時、なんと日本の茶碗も展示していた。左の茶碗は葵のご紋入り。


日本の茶碗が2碗!

ド素人眼には京焼と見たが(似た茶碗をどこかで観たことがあるような気がする)、誰の作なのだろう?

で、久しぶりにWasworth美術館ガイド本(?)『Italy and Spain Fourteenth through Nineteenth Centuriies』をチェックしたら、意外な写真を発見した。国立西洋美館のフセ・デ・リベーラ《クラテース》は哲学者シリーズの1枚だったのね!Wasworthには《哲学者プロタゴラス》があり、全部で8枚のシリーズだったようだ。ちなみに、フィレンツェのヴィッラ・バルディーニ「Caravaggio e Caravaggeschi」展でも、リベーラ(ソロモンの審判の画家)の聖人シリーズが展示されていた。リベーラの周辺では当時シリーズ需要が多かったのかな??

などと、またまた脇道に逸れてしまったが、フィレンツェの「Caravaggio e Caravaggeschi」展レポートを忘れている訳ではない(^^;;;

メリー・クリスマス!

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皆様、メリー・クリスマス!

ご無沙汰していたら、あっという間にクリスマスになってしまった。その間に、ようやくエコポイント期限すべり込みでアナログTVからデジタルTVに買い換えることができ(でも12月納品)、そのための事前大掃除(電気屋さんが来室するから)によりPC前が本や荷物の物置き場になり、やっとこの休みの掃除でPC前に座れるようになった。

さて、そんなわけで12月は美術展にも行く暇もなく、PCも触れず、仕事と掃除の日々。でも、まだ12月は終わっちゃいない。今年最後の美術展は何になるのだろうか?

銀座三越「山口晃展」

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今年最後の美術展鑑賞は銀座三越「山口晃展−東京旅ノ介」になった。

以前観た「山口&会田展」の時も思わず笑ってしまうほど楽しかったが、今回もインスタレーション(?!)付きで山口世界のディープなオタク的世界を見せてくれた。テーマが「東京旅ノ介」ということで、日本橋三越から始まり、下町や六本木、麻布界隈など、江戸絵巻的世界と懐かしの下町趣味と甲殻機動隊的近未来世界とが違和感無く展開する。きっと山口自身の興味のありどころだからだろうけど、その表現の基底にあるのが日本古典美術の本歌取りだけでなく、ピーテル・ブリューゲルだったりするのがなんだか嬉しい。ちなみに、私的に一番気に入った作品はオープニングを飾る2004年の日本橋三越シリーズであり、やはり傑作だと思う。三越喜ぶべし(笑)


      
百貨店圖 日本橋三越,2004   子の字引留行形柱,2010


展示中頃に戦争シリーズ(私的にはつまらなかった(^^;;;)を挟み、後半部分には山口が日本経済新聞に連載していた記事と写真が並び、彼の美意識のありどころがよくわかる。ビデオカメラのメカニックな美はありがちだけど、透明波板と白木柱の構成に見る逆説的な美なんて結構「なるほど!」だった。いや、それ以上に電信柱への偏執愛には絶句(笑)。前半にあった千駄木あたりを走らせたい(!)小型電車の実物展示や運行表も驚いたけれど、最後の立花のような電信柱と電線(実物大模型=造形作品!)の織り成す美しさには感動さえ覚えたのだった。

2010年、こんな楽しい展覧会(現代美術?!)で締められたということは、今年はなんとか良い年だったにちがいない。
ということで、皆様も良いお年をお迎えくださいませ。

仙台さくら野「有賀幹夫写真展−忌野清志郎」

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遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
今年も勝手気ままな感想文を書き綴ってまいりますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

さて、今年初めの展覧会鑑賞は仙台さくら野「有賀幹夫写真展−KING OF ROCK’N ROLL 忌野清志郎 NAUGHTY BOY」だった。


 会場入口のボード壁

年末にNHKで忌野清志郎の特集番組(再放送)を見、原宿ラフォーレでの清志郎絵画作品を思い出しながら、無性に清志郎の声を聴きたくなった。清志郎風に歌う若者ミュージシャンもいるが、あの声は誰にもまねることはできない。そんな想いを胸に帰省したら、なんと仙台のデパートで清志郎の写真展をやるとのこと!

有賀幹夫は清志郎ファンであり、かつ、ストーンズのオフィシャル・フォトグラファーだそうだ。展示作品は‘86年のライヴ写真から始まった。RCサクセションからソロ・バンドへと、清志郎自身の時代の変遷も写し出される。ステージの上、オフの姿...懐かしかったり、珍しかったり。そして、会場にはRCの曲が流れ、清志郎のライヴ映像上映コーナーまで併設され、思わず「あの頃」へと時間が遡る。

展示作品で一番カッコ良かったのはステージでの清志ちゃんの後ろ姿!微笑ましかったのは「COVERS」録音スタジオでの梅津さんと子供たち。ああこのカメラマンだったのね、と思ったのはミック・ジャガーと清志ちゃんのツーショット。それ以上に息ピッタリなのはやはり清志ちゃんとチャボのツーショット。その横にリンコさんが居て、後ろに新田さん、キーボードロボットのG2が居れば、日本最強のロックンロールバンドなのさ♪

でもね、少々残念だったのは展示作品数が少ないのと(美術展と比べて)、有賀さんのコメントが多すぎること(笑)。もちろん、ありがたい解説や共感するコメントも多々。特に日比谷野音での「ヒッピーに捧ぐ」はやはり皆の心に深く刻まれていることを確認。

「僕が伝えたいこと、それは忌野清志郎だけがミック・ジャガーのとなりに位置すべき偉大なバンドマンだっていうことなんだ、悪いけど….」(有賀幹夫)

それは新年早々会場に足を運んだいかにもバンドやってます風若者たちや、私を含めファン歴長いです風中高年の皆さんにも十分に伝ったと思う。いや、皆さん既にわかってますって、悪いけど...(^^:

急遽ローマへ

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急遽、タイトな日程でローマに行ってきた。なんと正味2日間(^^;;;
ボローニャのFさんからの展覧会情報に、ぜひとも行かなくちゃ!と飛んで行ってしまった。



さて、2日間で観た展覧会と美術館・教会は…

<展覧会>
・「Palazzo Farnèse展」(ファルネーゼ宮)
・「ルーカス・クラナッハ展」(ボルゲーゼ美術館)
・「Caravaggio la Bottega Genio展」(ヴェネツィア宮)
・「Caravaggio a Roma展」(サピエンツァ宮)parazzio della sapienza
・「Roma e l'Antico. Realtà e visione e nel '700展」(Fonazione roma Museo)

<美術館・教会>
・国立近代美術館
・ボルゲーゼ美術館
・バラッコ美術館
・サンタ・マリア・デル・ポポロ教会
・サンタ・アゴスティーノ教会
・サン・ルイージ・デイ・フランチェージ教会
・ジェズ教会
・サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂

詳細はまた後ほど...。

ローマ「パラッツォ・ファルネーゼ(Palazzo Farnese)展」(1)

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去年の2月、在日フランス大使館旧庁舎で若手アーティストたちによるアートイベント「No Man’s Land」展を観た。新庁舎オープンに伴う旧庁舎解体を前に、展覧会だけでなく旧庁舎も興味深く眺めてきた。

旧庁舎は戦後に建てられたものだろうか、ちょっとオシャレめシンプルモダンという感じの低層ビルで、その普通っぽさが意外だった(^^;;。旧庁舎の屋上からは新庁舎の洗練されたホテルのようなエントランスが望めたが、多分名のある建築家設計によるものなのだろう。
新庁舎を眺めながら、ローマの在伊フランス大使館の古色を帯びたエレガントなパラッツォの風格を想った。なにしろ、アントニオ・ダ・サンガッロ、ミケランジェロ、ヴィニョーラ、デッラ・ポルタ…昔の超有名どころが手がけた建物だし...。

ということで、今回のローマ駆け足旅行はまず「パラッツォ・ファルネーゼ(Palazzo Farnese)展」から。


パラッツォ・ファルネーゼ正面(ファルネーゼ家紋章・フランス国旗とEU旗・展覧会垂幕)

今回の「パラッツォ・ファルネーゼ展」は単なる建物内部の見学だけではない。アンニバレ・カラッチのフレスコ画はもちろんだが、ファルネーゼ一族の歴史を語るパルマやナポリ(カポディモンテ美術館・国立考古学博物館)からの美術品も多く展示され、このパラッツォの主であったファルネーゼ家コレクションの素晴らしさを偲ばせてくれる。更に、アンニバレ・カラッチによるフレスコ画下絵がルーヴルやウフィッツィなどからも展示され、展覧会を一層興味深く面白いものとしていた。
(現フランス大使館なので執務室は除外=フランチェスコ・サルヴィアーティ、ズッカリ兄弟のフレスコ画は観られない)

そもそもこの展覧会は在伊フランス大使がナポリの考古学博物館でファルネーゼ・コレクションの彫刻群に感動し、かつての展示場所であったパラッツォ・ファルネーゼ(大使館の管理下)に再現展示したいものだと思ったのが発端のようだ。わかるなぁ、その気持ち!


ミケランジェロの手も入っている《ファルネーゼの牛》(ナポリ国立考古学博物館)
ナポリで夕方撮影したので画面が暗い(^^;;

見学コースは中庭を通り、階段を上った突き当たりにある「ヘラクレスの間」から始まった。展示されている像はカラカラ浴場の出土ヘラクレス像(コピー)のようだが、その大きさに圧倒される。もしかしてファルネーゼ家の古典古代への関心の有り様がアンニバレによるフレスコ画主題に通じるのかもしれない。ちなみに「ヘラクレスの間」は天井がとても高い(2階以上もありそう)大きなホールで、木製天井浮彫にはファルネーゼ家の百合の紋章が見て取れた。
(フランス人は英語に抵抗感があるのか、展示作品の解説文はイタリア語とフランス語だけだった(笑))


パラッツォ・ファルネーゼ中庭

さて、「ヘラクレスの間」を出て順路を進むと小部屋のような通路に…わっ、まさか?!なんと、ティツィアーノ《パウルス3世の肖像》(カポディモンテ美術館)が出迎えてくれたのだ♪ しみじみ至近距離で仔細に観察する。なにしろ所蔵元のカポディモンテ美術館では絵の前にロープが設けられ、こんな近くで観られないのだから!さすがフランス大使館、太っ腹だねぇ(笑)。ちなみに、日本での「カポディモンテ美術館展」にティツィアーノのパウルス3世像の1枚でも来日したら、もっと引き締まった展覧会になったと思う。(交渉が大変だったのは知ってるけど、ごめんなさい(^^;;>西美さま)


ティツィアーノ《パウルス3世の肖像》(カポディモンテ美術館)

ローマ教皇パウルス3世(アレッサンドロ・ファルネーゼ,)はやせこけた風貌ながら、策略をめぐらしているかのような眼差しをティツィアーノに投げかける。実際、ティツィアーノは次男への聖職者禄をエサに老獪なパウルス3世に翻弄され続け、何枚もの作品を描いたにもかかわらず、遂に目的を果たすことはできなかったのだから。パウルス3世の紅いポシェットを押さえる指がなにやら出し惜しみする仕草に見えるのは私がティツィアーノに感情移入しているからであろうか?(^^;;;

ファルネーゼ家は元々トスカーナ出身の貴族の家柄だったが、アレッサンドロ・ファルネーゼ(1468−1549)が枢機卿から教皇へと上り詰め、さらには息子ピエル・ルイージのために教皇領から割譲し新しい領国を作ってしまった。それがパルマ・エ・ピアチェンツァ公国である。ちなみに、パウルス3世が枢機卿に抜擢されたのはアルクサンデル6世(チェーザレ・ボルジアの父)に美人の妹を差し出したためと言われる。ボルジア家の野望と挫折を側で見つめていたにちがいない。きっとその学習から公国は創出されたのだと思うのだ。

初代パルマ公のピエル・ルイージ(鎧姿の展示肖像からは喧嘩っ早そうな印象を受けた(^^;)は暗殺されるが、その息子たち、パウルス3世にとっては孫たちがファルネーゼ家の繁栄を引き継ぐ。長男アレッサンドロと三男ラヌッチョは聖職者として、次男オッターヴィオは第2代パルマ公として…。オッターヴィオはカール5世(カルロス1世)の庶子マルゲリータと結婚、その息子である第3代パルマ公アレッサンドロ・ファルネーゼ(1545−1592)はスペイン(フェリペ2世)の宮廷で軍人として教育され、レパントの海戦やネーデルラントで大活躍する。
その後、第6代パルマ公の孫エリザベッタ・ファルネーゼがスペイン(ブルボン家)フェリペ5世の後妻となり、その息子カルロス(1716−1788)がナポリ王・シチリア王となり、後にスペイン王カルロス3世となる。ナポリ王時代、1731年にパルマ公ファルネーゼ家が途絶え、カルロスがパルマ・ファルネーゼ家を継ぎ、ナポリにファルネーゼ・コレクションをごそっと移ってしまった。故に、カポディモンテ美術館や国立古代博物館にはファルネーゼ縁の美術品が溢れているのだよね。

そのファルネーゼ家代々のファミリーツリーや一族の肖像画がパルマから展示されていた。日本での「パルマ展」でも展示された作品が多く、なんだか懐かしくなってしまった。やはり目が行ったのはコエーリョの第3代パルマ公《アレッサンドロ・ファルネーゼ》。スペインで描かれたはずで、イタリア絵画とは違った香がする。ジュリオ・カンピの第2代パルマ公《オッターヴィオ・ファルネーゼ》はあの有名なティツィアーノ《パウルス3世と孫たち》のオッターヴィオにあまり似ていないなぁ、なんて思ってしまったり(^^;

パルマと言えば「コレッジョ展」を観に訪れた時に、ピロッタ宮の内部(あのファルネーゼ劇場も)を観ながら一族の繁栄が偲ばれたものだ。


パルマ「ピロッタ宮」


さて、次回はアンニバレ・カラッチ&工房によるフレスコ画の世界を...。ということで、続く(^^;;;

東日本大震災

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3月11日の東日本大震災から2ヶ月経った。石巻の実家は津波で流され、母と兄が未だ行方不明のままである。義姉は職場が高台で助かり、それだけは幸いだった。GW初めに、身内だけで仮の49日をささやかに弔い、なんとか心の整理をつけてきた。

ブログを休んでいる間、たまたまネットの「ほぼ日」から吉本隆明による旧約聖書「ヨブ記」講演会の記録を聴いた。

吉本は「ヨブ記」の「神」とは「自然」のことなのではないかと言う。当時のメソポタミア地域のアニミズム信仰が一神教へ移行する過度期に成立したのではないか、とも。

確かにヨブが与えられた不条理とも言える過酷な試練は「自然」による災いだと考えると納得できる。ヨブの前に顕現した神が言う訳のわからぬ言説も…。人知の及ばぬところに「神=自然」は在る。

今回の大震災で色々と思うことは多かったが、とにかく今生きていることを感謝し、今を大切にしながら進むしかないと考えるようになった。




ワシントン・ナショナル・ギャラリー

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6月8日から国立新美術館で「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」が始まるようで、『芸術新潮』も特集を組んでいたが、実は今月ワシントンDCに行ってきた。


ワシントン・ナショナル・ギャラリー(National Gallery of Art, Washington, DC

目的はヘンドリク・テル・ブリュッヘン《聖イレーヌに介抱される聖セバスチアヌス》特別展示を観るためだった。オハイオ州アレン財団美術館まで出向くよりもワシントン・ナショナル・ギャラリーに行く方が断然楽だということは前回の米国縦横断旅行の学習から得た結論であり、この機会を逃すことは偲びがたかった。大震災前に予約していた航空券はキャンセルしたのだが、かなり悩んだあげく、仮の四十九日をすませた後でやはり出かけることにした。

・「テル・ブリュッヘン特別展示」Larger Than Life: Ter Brugghen's Saint Sebastian Tended by Irene



ワシントンは2度目でもあるし、相変わらず下調べもせず出かけたが、収穫は予想以上に大きかった。テル・ブリュッヘンは《聖イレーヌに介抱される聖セバスチアヌス》だけでなく、2009年所蔵の《バグパイプ奏者》も展示されており、この2作品の質の高さが嬉しかった。それに、ナショナル・ギャラリー東館の展覧会もすこぶる充実していたのだ。「ハブリエル・メツー展」「カナレット展」「ゴーギャン展」、それぞれ見応えのある内容だった。

・「ハブリエル・メツー展」Gabriel Metsu, 1629–1667



・「カナレット展」Venice: Canaletto and His Rivals



・「ゴーギャン展」Gauguin: Maker of Myth



それぞれの展覧会感想は改めて書きたい。

今回、ナショナル・ギャラリーが常設展だけでなく展覧会も全て無料であることに驚いた。「ホッパー展」を観た時は有料だったような気がしていたのだ。もちろん同じモール地区のスミソニアン協会各施設も全て無料であり、成り立ちや文化財に対する意識・税制の違いもあるだろうが、その規模の大きさや財源の豊かさは日本人として実に羨ましい。
広いモール地区道路沿いの威風堂々たる古典的オーダーの目立つ公共建築群を見上げながら、ふと、古代ローマ帝国のようだとも思ってしまったが、別に皮肉のつもりはない。

韓国「ヴァティカン美術館展」にカラヴァッジョ《キリストの埋葬》

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韓国(ソウル)国立中央博物館(National Museum of Korea)で今年の暮れから「ヴァティカン美術館のルネサンス美術」展が開催される。その中に、何とカラヴァッジョ《キリストの埋葬》も展示予定とか。(→ご参考

■場所:韓国国立中央博物館(National Museum of Korea)(ソウル)
■期間:2011年12月6日〜2012年4月1日


カラヴァッジョ《キリストの埋葬》(1602-1604)

カラヴァッジョはルネサンスと言うよりバロックだろう、などというツッコミは控えるが、お隣の国でカラヴァッジョを観る機会ができたことは喜ばしい。韓国はキリスト教徒が多いし(プロテスタント18.3%・カトリック10.9%)、官民一体の経済的躍進には目を瞠るし、ヴァティカン側の合意も得やすかっただろうと推測する。

いつの時代も経済が豊かになれば次は文化の享受へと向かうものだ。日本でも1989年に国立西洋美術館で開催された「ヴァチカン美術館特別展―古代ギリシャからルネサンス・バロックまで」で《キリストの埋葬》が展示された。なんだかバブル期の日本がずいぶん遠い昔のように思える(^^;

ご無沙汰、申し訳ありませんでした。

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すっかりご無沙汰をしてしまい、申し訳ありませんでした。

去年8月初めに兄の遺体が見つかり、母は行方不明のままですが、ふたりの葬儀をばたばたと済ませました。やはり精神的に引き籠ってしまい、ブログも放置したまま休んでしまいました。もう元気になったので、ブログを再開したいと思います。

で、韓国の「ヴァティカン美術館展」が中止になったことをお知らせします。私も期待していたのですが、本当に残念です。ガセネタになってしまい、申し訳ありませんでした。<m(__)m>

イタリア美術プチ縦横断旅行

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相変わらずの駆け足旅行に行ってきた。去年見逃した展覧会を想うと悔しいが、今年できるだけ観たいものだと思う。さて、今回は...

■ローマ
・スクデリエ・デル・クィリナーレ(Scuderie del Quirinale)
Tintotrtto」展


「ティントレット展」垂れ幕

ヴェネツィア派は好きだがどうもティントレットは苦手だった。今回の展覧会では少しでも苦手意識を取り除きたいと思ったのだが...(^^;;
出展作品はやはりアカデミアやサン・ロッコなどヴェネツィアからの作品が多数を占める。今回の展覧会で収穫だったのは、ティントレット作品の中にトスカーナの手法が確認できたこと!マニエリスム画家であることが私的に了解できたことが何よりだった。
オープニングが自負心に溢れるV&A《自画像》で、最後が全てを見てしまったというような晩年の何か虚ろな眼差しのルーヴル《自画像》という、作品以上にティントレット自身を物語っていたような気がする。

・パラッツォ・バルベリーニ(Palazzo Barberini)
Guercino 1591-1666」展
「常設展」


パラッツォ・バルベリーニ入口の「グエルチーノ展」垂れ幕

グエルチーノの故郷Cento市立絵画館からの出展が多数を占めていた。中でも《Cristo risorto appare alla madre》は特にエモーショナルで、上手すぎる涙腺刺激傑作だった。グエルチーノにラファエッロの影響が見え、カラヴァッジョ的明暗作品から古典主義へと移行するのは、グイド・レーニと同じかもしれない。
常設展示の方はカラヴァッジョ3作品《ナルキッソス》《フォロフェルネスの首を斬るユディット》《瞑想する聖フランチェスコ》が出張なしで常勤状態だった。ユディットの背後の紅いカーテンのうねりはフォロフェルネスの血の増幅表現じゃないのか?

■ボローニャ
・国立絵画館(Pinacoteca nazionale


ボローニャ国立絵画館

3度目の国立絵画館になったが、ラファエッロ《聖チチェーリア》の展示位置が異なっていた。実は今回、ジョット《聖母子と4聖人》の衣文表現の美しさに改めて目を奪われた。青色(多分ラピスラズリ)の諧調と深みにが素晴らしい。ボローニャ派展示室はそのままで、ローマでのグエルチーノ展の続き的チェックをしてしまった。で、グイド・レーニの晩年と思われる肖像画があり、なんだか苦労が偲ばれてしまった。

・サン・コロンバーノ(San Clombano)


サン・コロンバーノ(教会・美術館)

サン・コロンバーノとパラッツォ・ペポリはボローニャのFさんに案内していただいた(Fさんに感謝!)。それぞれ古い教会とパラッツォを修復して美術館にしたそうだ。サン・コロンバーノは個人収集家の集めた楽器類(主にチェンバロなど)が展示されているのだが、元々の教会部分にボローニャ派によるフレスコ画が残っている。ある意味で豪勢だと思う。

・パラッツォ・ペポリ(Palazzo Pepoli Campogrande


パラッツォ・ペポリ Campogrande 国立絵画館などからの委託展示が多いようだ。

パラッツォ・ペポリはフレスコ画装飾が美しいパラッツォで、古典〜現代美術の展示を行っており、バロック作品も多く展示されていた。カラヴァッジョ的作品もあり目が吸い寄せられる(^^ゞ
ペポリの美術館リンクにYOU TUBE 動画を貼ったのでご参照ください。

■ミラノ
・パラッツォ・レアーレ(Palazzo Reale)
Tiziano e la nascita del paesaggio moderno」展


パラッツォ・レアーレ玄関前の垂れ幕。風の強い日だった。

ヴェネツィア派絵画における風景画の変遷を観ることができた。風景が作品背後に広がる人物主体から風景重視になる展開も実に興味深かった。なにしろオープニングがジョヴァンニ・ベッリーニ《Crocifisso con cimitero》で、懐かしくもプラートのアルベルティ美術館から来ていた!!このジョルジョーネ、ティツィアーノ、ヴェロネーゼと続く第1室だけで満足してしまう。続く展示室がちょっと寂しくても許してあげる(笑)。
ベネツィア派の風景画がフランドル絵画やデューラなどの影響を受けているのはよくわかるが、やはりティツィアーノあたりからヴェネツィア派独自の表現になっていくのが見えた気がする。

■ラヴェンナ
・ラヴェンナ市立絵画館(Museo d’Arte della citta di Ravenna)
Miseria e splendore della Carne Caravaggio, Courbet, Giacometti, Bacon...」展

ラベンナ市立絵画館。隣の立派な教会はサンタ・マリア・イン・ポルト教会。

今回の旅行の最目的はこの展覧会だった。カラヴァッジョ作品はロベルト・ロンギ財団《蜥蜴に噛まれる少年》だけだが、カラヴァッジョをどのような文脈で語るのかに興味があって出かけた。
この展覧会はロベルト・ロンギの弟子で評論家ジョヴァンニ・テストーリ(Giovanni Testori 1923-1993)に捧げるものだった。このテストーリおじさんはミラノ近郊出身でロンギの弟子だから当然カラヴァッジョ研究もしている。テストーリがロンバルディアの画家たちを愛し、カラヴァッジョを通じて、現代に至る画家たちを批評した軌跡が展示されたとでも言って良いだろう。やはり、クールベやジェリコーはわかるし、現代に至ってのサザーランドやベーコンへ受け継がれていった共通項は「リアリティ」なのだよね。今回私的になるほど!と思ったのがジャコメッティだった。並べてみると、ベーコンはジャコメッティとサザーランドに影響を受けているのではないかと思ってしまった。それ以上にジャコメッティって凄いかもしれない。結構面白い展覧会だったので詳細はまた書きたいと思う。

・サンタ・ポッリナーレ・ヌォーヴォ聖堂(Basilica di Sant Apollinare Nuovo)
・ネオニアーノ洗礼堂(Battistero Neoniano)
・サン・ヴィターレ聖堂(Basillica di San Vitale)
・ガッラ・プラチーディア廟(Mauseleo di Galla Placidia)
・アリアーニ洗礼堂(Battistero degli Ariani)
・大司教博物館(サンタンドレア礼拝堂)(Cappella di Sant Andrea)
・サンタ・ポッリナーレ・イン・クラッセ教会(Basilica di Sant Appollinare Classe)
・テオドリック王廟(Mausoled di Teodorico)


サン・ビターレ聖堂《ユスティニアヌス帝と従臣たち》

ラヴェンナの世界遺産に登録されている史跡を駆け足で回った。黄金のモザイクが美しく、なおかつ素朴な造形から高度な技巧まで、それぞれの聖堂や廟にふさわしい荘厳さに心打たれた。ビザンチンの残光がラヴェンナには色濃く残されている。

ざっと急いで旅レポートを書き飛ばしたが、個々の展覧会や美術館・教会等の詳細感想文をできるだけ書きたいと思う。でも毎度オオカミ少年だから期待しないでお待ちあれ(^^;;;

旅先スウィーツ

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旅行日程が復活祭(Pasqua)にかぶっていると知ったのはFさん情報でだった。
昔、友人たちとロンドンに滞在した時にイースター寒波で震え上がった記憶が甦る。ならば、と冬支度で出かけて正解。案の定、イタリアも寒かった!
そして、ローマでの復活祭の日、ホテルの部屋に戻るとサプライズが!


イースター・スウィーツ♪

スウィーツついでに、ボローニャでFさんとお茶したカフェ。フランス風のこじゃれたお店で、ケースには美味しそうなケーキ類が並んでいた。でも、最近ますますプヨ腹が気になるので(涙)プチフールを選んだ。食のボローニャですもん、モチロン美味しかった♪ Fさん、ごちそうさまでした!


ボローニャのフレンチ風カフェ。コゼーも紙ナプキンもオレンジ色で統一。

ベルリン国立絵画館のとんでもない話(追記)

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国立西洋美術館で「ベルリン国立美術館展」を観た。会社を休んでまで初日に観に行くほどベルリン国立絵画館は私的に思い入れのある美術館である(なにしろ3度もベルリン詣でしたのだから)。なので、えーっ「ベルリン国立美術館展」だったのね(^^;;、と、ちょっとばかり拍子抜けしたのだが、その展覧会感想は後回しにする。と言うのも、ベルリン国立絵画館でとんでもない話が持ち上がっているらしい。


ベルリン国立絵画館(Gemäldegalerie)文化フォーラム

ベルリン(政府)がPietzschコレクション(現代美術コレクション)を、一括展示を条件に寄贈を受け、それではと、なんと国立絵画館のスペースを提示したらしい。国立絵画館の所蔵作品はボーデ博物館に分割展示&一時お蔵入りするとのこと。ボーデ博物館隣接展示スペースを増築後、古典絵画作品が一堂に展示再開するのは2018年の予定らしい。おいおい6年後だとぉ?(-_-)/~~~ピシー!ピシー!

現代美術のために古典絵画がその展示場所を失うなんて信じられない。あの素晴らしい所蔵作品群をバラバラにするつもり?! 引き受けるボーデ美術館側も所蔵作品の展示数削減に追い込まれる見込み。

カラヴァッジョの《勝ち誇るアモル》はどうなるの?ホルツシューアーさんはどうずるの?まさかファン・エイクはお蔵入りとか?? ううっ、許せんっ!!

どうやら私と同じようにドイツの美術史専門家さまたちもお怒りです。現在ネットで署名活動中のご様子。
http://www.kunsthistoriker.org/offener_brief_gemaeldegalerie.html

ずっとネットを離れていたので、日本で話題になっているのかわからないが、とにかくこれはゆゆしき出来事だと思う。どうして現代美術の犠牲に?!

(偶然ネットで知って、驚きのあまり支離滅裂の文章になってしまった。若干修正はしたけど、お見苦しくてごめんなさい)

追記:上記の記事は自動翻訳機を使ったので、私の早とちり・誤解があるかもしれず、もし間違っていたら申し訳ありません<m(__)m>。この記事を削除したくなっています(^^;;;;;

国立西洋美術館「ベルリン国立美術館展」(1)

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6月に国立西洋美術館「ベルリン国立美術館展」を観た。
でかける前は、なぜ「国立絵画館展」ではないのだろう?と訝しく思っていたのだが、なるほどで、彫刻と素描も併せての展示となっていた。彫刻コレクションは博物館島のボーデ美術館から、素描は国立絵画館隣接の版画素描館から。要するにベルリンにある国立美術館からの出展だったのだ。しかし、私的ご贔屓の国立絵画館の常設内容から思えば、例えフェルメールが来たとしても、やはり寂しさを覚えずにはいられない。もう少し絵画作品を持って来てほしかったというのが正直な感想だ。

さて、展示内容はルネサンス初期15世紀から18世紀にかける絵画・彫刻を織り交ぜたほぼ時系列展示となっていた。○○美術館展というと水で薄めたような内容が多いが(最近も某美術館展がかなり水っぽいボルシチスープのように感じられた/汗)、今回のベルリン美術館展はイタリア絵画と北方絵画のニュアンスの違いや、影響関係が偲ばれる意外に面白い企画だった。

とりあえず、展示順に私的興味深かった作品を紹介して行く。ちなみに図録を購入しなかったし、美術ド素人の勝手気ままな感想文なので、誤解等があってもお許しあれ(^^;;;

<第一章 15世紀:宗教と日常生活>
ここではイタリアルネサンス彫刻とドイツルネサンス彫刻の造形文化の違いがにわかりやすく展示されていた。
ルーカ・デラ・ロッビアはフィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂を飾る《カントリア》の子供たちの愛らしい表情が大好きな彫刻家である。大聖堂付属博物館では思わず顔がほころんでしまったものだ。
ティルマン・リーメンシュナイダーはドイツ木造彫刻の至宝とも言うべきヴュルツブルグの巨匠である。ルーカ・デッラ・ロッビアのテラコッタ彫像《聖母子》は自然でまろやかな写実性を持ち、聖母子の表情は人間的な心温かさを感じさせる。リーメンシュナイダー作品《龍を退治する馬上の聖ゲオルギウス》はゴシック的な堅さを残すものの、豊かな造形表現堅の中に人間の持つ厳粛さを漂わせる。
企画者側の意図通り、両者を並べることにより見えてくるイタリアとドイツの造形気質の違いが面白い。前者がカトリックを遵守し、後者が宗教改革へと向かう、美のマイスター達を呑み込んで行く歴史の流れも宣なるかなと思わせるものがある。

  
ルーカ・デッラ・ロッビア《聖母子》1450年頃 ティルマン・リーメンシュナイダー《龍を退治する馬上の聖ゲオルギウス》1490-95年頃

ドイツ的と言えば、ハンス・ヴィデッツの小ぶりな《受胎告知》は見た瞬間マルティン・ションガウアーの版画を想起させてくれた。リーメンシュナイダーにも言えるのだが、生真面目で求心的なものが造形の中に感じられる。

絵画で興味深かったのはチーマ・ダ・コネリアーノと工房作《聖ルチア、マグダラのマリア・アレキサンドリアの聖カタリナ》だった。工房作ではあるが、ジョヴァンニ・ベッリーニの影響を色濃く反映し、なおかつ、マグダラのマリアにベッリーニと同じくアントネッロ・ダ・メッシーナの面影も残しているように見えたのだ。以前、チーマ作品の背景にフランドル的な臭いを嗅いだことがある。ベッリーニの影響だと思っていたのだが、直接的にアントネッロ作品を研究した可能性もあるのだなと気がついた。去年、ミラノでチーマの展覧会があったようだが、観ておけば良かったと後悔している。

<第二章 15−16世紀:魅惑の肖像画>
西美正面看板にも展覧会チラシにもルーカス・クラナーハ(父)工房《マルティン・ルターの肖像》が大きく扱われているが、描かれた人物がルターだからこその脚光だと思う。私的には断然アルブレヒト・デューラ《ヤーコプ・ムッフェルの肖像》の方が魅力的だ。

デューラーは繊細緻密な筆触によりムッフェルさんの個性を生き生きと活写している。斜め前方をまっすぐ見つめ、やや大きめの鼻ではあるけど、しっかりと結んだ口元には生真面目さが漂う。目元の皺やたるんだ皮膚の質感まで陰影をもって余すことなく描写し尽くしているが、ムッフェルさんの真摯な眼差しにこそ画家の信頼の眼差しが投影されているような気がする。こめかみの白くなった髪の毛、纏う毛皮の繊細な質感、耳の複雑な描写、デューラーならではの線の緻密さが本当に素晴らしい。


アルブブレヒト・デューラー《ヤーコプ・ムッフェルの肖像》1526年

ベルリン国立絵画館にはムッフェルさんと同じくデューラー描くホルツシューアーさんの肖像も並び展示されている。前髪が薄いけど、ぎょろりと眼光鋭く、どっしりとした存在感を示すホルツシューアーさんの迫力に(デューラーの描写がめちゃくちゃ凄すぎるのだが)、ムッフェルさんはいつも大人しそうに見えた。


アルブブレヒト・デューラー《ヒエロニムス・ホルツシューアーの肖像》1526年

今回、ムッフェルさん一人の来日は寂しいかもと思っていたが、かえって一人の方がムッフェルさんの真摯な佇まいを際立たせてくれ、思わぬ嬉しい展示となった。それにしても1526年のデューラーはまさしく円熟の境地に立っていたのだなぁとつくづく思う。

ミラノ〜トゥールーズ〜モンペリエ

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旅行に行ってきた。今回はミラノ〜トゥールーズ〜モンペリエを廻る旅である。滑り込みでフランスでのカラヴァッジョ&カラヴァッジェスキ展「Corps et Ombres」を観ることができた。(Fさん情報に感謝!)

Corps et Ombres : Caravage et le caravagisme européen


ファーブル美術館(モンペリエ)

Corps et Ombres : le caravagisme du Nord


オーギュスタン美術館(トゥールーズ)

しかし、なぜ起点はミラノだったのか? 私が旅行を計画した時点では「カラヴァッジョとグェルチーノ展」があるハズだった。しかし、パラッツォ・レアーレの前に立った時、垂れ幕が見あたらないのだ。恐ろしい不安に襲われた。まさか?!

階段を急ぎ上がってチケット売り場に向かう。「今はピカソ展だよ。ああ、カラヴァッジョ展はトラブルで来春に延期したようだ。」

しばし呆然としてしまった。だが、立ち直りも意外に早かった。ここはミラノだ。カラヴァッジョ作品が2点あるじゃないか。スフォルツェスコ城の絵画館もチェックしたい。。。


アンブロジアーナ絵画館


ブレラ美術館

ということで、波乱万丈の幕開けだったが、アンブロジアーナのレオナルド・ダ・ヴィンチ草稿展示も含め、充実のミラノではあった。

東京都美術館「レオナルド・ダ・ヴィンチ展」に思うこと。

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東京都美術館で4月23日(火)から「レオナルド・ダ・ヴィンチ展」が始まる。東美サイトを見ると、正式名称は「ミラノ アンブロジアーナ図書館・絵画館所蔵 レオナルド・ダ・ヴィンチ展−天才の肖像」(長ったらしいこと(^^;)だから、去年ミラノで観た展覧会の拡大ヴァージョンなのだろうと思う。《音楽家の肖像》などの絵画と『アトランティコ手稿』が並ぶはずだ。


アンブロジアーナ絵画館

しかし、私的には「う〜ん」と少々複雑な心境になってしまったのだった...。

ミラノではアンブロジアーナ図書館(Bibliotaca Ambrosiana)の方に絵画も手稿も展示されていた。


アンブロジアーナ図書館

絵画は閲覧室の隣の部屋にさりげなく展示されていたが、『アトランティコ手稿』は閲覧室書棚を背景に、ページ別に透明スタンドケースに入れられ立ち並んでいた。天井までびっしりと詰まった書棚には古色漂うモロッコ革本なども見え、この図書館の歴史が凝縮されているようにも思えた。ナポレオンによる収奪を含め、紆余曲折の歴史の中で『アトランティコ手稿』は守られてきたのだろう。参考動画→ここ

図書館は決して暗くはなく、入場者も少なかったし、若い係員たちのイタリア特有の大らかさも気持良く、ゆっくりと一枚一枚眺めることができた。かつて森美術展で観たビル・ゲイツ所蔵のレスター手稿展示(暗闇にほんの一瞬の照明)とは段違い。だからこそ、また展示室が暗いんじゃないかと心配になる。あ、もちろん、今回の展示はミラノとはまた別ページの手稿だろうから、観に行こうとは思っている。

実はもうひとつ、アンブロジアーナの展示を思い出し、考えてしまったことがある。美術館@歴史建造物が多いイタリアだってミラノのパラッツォ・レアーレやローマのスクデリエ・デル・クイリナーレのようなホワイトキューブ的な展覧会は多い。しかし、図書館を使ったアンブロジアーナの展覧会は、展示物と呼応した雰囲気が濃厚に漂い、展示内容の歴史的意味が強く立ち上がってきたのだ。

例えば、2011年の春にローマのサンティーヴォ・アッラ・サピエンツァにある州立公文書館(Archivio di Stato,Complesso Monumentale di Sant’Ivo alla Sapienza)で開催された「ローマでのカラヴァッジョ(Caravaggio a Roma. Una Vita dal vero)」展も然り。公文書館の書棚を背景に、展示ケースの中のカラヴァッジョの生前の記録も生々しく、あのバリオーネ裁判の関連画家たちの絵画も一緒に展示されているものだから、余計に当時の状況が沸々と思い描かれるのであった。もし、ホワイトキューブ的な会場での展示だったら、あの時のゾクゾクするような興奮は無かったかもしれない。参考動画→ここ


サンティーヴォ・アッラ・サピエンツァ 中央教会はボッロミーニ設計 公文書館は左側建物2階


カラヴァッジョ関連資料(生の一次資料!)


左はオラッツィオ・ジェンティレスキ作品 右はバリオーネ作品

展示物の持つ魅力や歴史が最も生かされる会場で観るのが、観客にとっても展示物にとっても幸せなことなのだと思う。でも、西洋古典絵画を日本で観る場合はあきらめざるを得ないのだろうなぁ。。。せめて会場は暗くしないでね(^^;

東京都美術館「レオナルド・ダ・ヴィンチ展」を観た。

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前回、少し愚痴っぽく書いてしまった(汗)東京都美術館「レオナルド・ダ・ヴィンチ展」を観た。会場は意外に明るく、《アトランティコ手稿》の照明も見やすいもので、デジタル映像解説も有り難かった。暗さへの不安は杞憂に終わったようで、ほっ(^^;

手稿はやはりミラノで観たものと違うページで、興味深く観ることができた。レオナルドは基本的に科学系の人なのだろうね。走り書きデッサンでさえ上手いと思わせるのは流石だが、彼にとっての絵画は自然観察によって得た知識応用の一つに過ぎないんじゃないかと思ってしまう。
ちなみに、解説の中に1502年チェーザレ・ボルジア云々とあり、イーモラだわ♪と極私的に喜んでしまった。

そして、アンブロジアーナ図書館蔵らしい展示もあった。「レオナルドの愛読書」と銘打ったコーナーで、当時の写本や印刷本が並び、特に新プラトン主義のフィチーノ『プラトン神学−魂の不死について』はレオナルドがフィレンツェ人であることを断然証明するものだと思う。それと、友人ルカ・パチョーリの数学本。ルカさんはボルゴ・サンセポルクロ出身=ピエロ・デッラ・フランチェスカの弟子なのだ♪ 

さて、美術作品の方はミラノ・ロンバルディア地方を中心とするレオナルド及びレオナルデスキ(カラヴァジェスキと同じ)作品が中心で、絵画作品よりも素描作品が多い。ミラノで修業したカラヴァッジョに何らかの影響を与えているかも…という視点で観れば、少しは熱心に眺めることができるのだった。

その中で印象的だったものを挙げると
?ベルナルディーノ・カンピ(1522-1591)《受胎告知》(16世紀半ば)はカラヴァッジョ《受胎告知》と構図が似ている。カラヴァッジョの天使は上部に位置するけれど、雲に乗っているし聖母マリアとの左右位置が同じ。カンピはクレモナ出身であり、カラヴァッジョ村とも近い。ロンバルディアの主流構図だったのか?


カラヴァッジョ《受胎告知》(ナンシー美術館)

?ジュリオ・ロマーノに基づく《太陽の馬車と月の馬車》(16世紀後半)はパラッツォ・テの天井画であり、模写素描が流布しているということはマントヴァに行かなくとも知ることができるし、それをカジノ・ルドヴィーシの天井画に応用した可能性もある。でも、そのためにマントヴァまで行った私としてはカラヴァッジョが実物を見たと思いたい(^^;


ジュリオ・ロマーノ《太陽の馬車と月の馬車》(パラッツォ・テ)

?デューラー《普段着のニュルンベルクの女性》(1500年頃)は流石に緻密さが際立っていた。衣服やポシェットの質感、特にポシェットの膨らみ表現に目が寄ってしまった。

絵画作品としての目玉はやはり《音楽家の肖像》で、ガラスの防護壁の奥に鎮座していた。昔は絵画館の展示室に普通に展示されていたし、あんな金ぴかの額縁じゃなかったような気がするのだが、記憶違い?。研究者により真筆が疑問視されている作品なので、いつも「どうなんだろうね?」と眺めていた。今回は「真筆」とお墨付きの展示。


レオナルド・ダ・ヴィンチ《音楽家の肖像》(アンブロジアーナ絵画館)

斜め右向き上半身の音楽家は巻き毛を含めた顔部分が写実的で、特に澄んだ目元が印象的だ。なんとなく《岩窟の聖母》の天使に似ているような気がする。顔以外は筆致も荒いままだが、未完成だからという解説だった。楽譜を持つ右指の関節部分は短縮法的にこちらに突出させようとしたのだろう。背景が暗いためにキアロスクーロ効果が際立つ。真筆かどうかは抜きにして、ルネサンス肖像画として魅力的な作品だと思う。

話はちょっと逸れるが、音楽家の瞼が若干気になった。というのも《ジネブラ・ベンチの肖像》の皮膚感をどうしても想起してしまうからだ。彼女の皮膚が骨格と筋肉を覆う皮膜であるという事実をレオナルドは薄い瞼に込めていた。もちろんそれを男女の骨格と表現技術の変化による違いと言われればそうなのだけどね。


レオナルド・ダ・ヴィンチ《ジネブラ・ベンチの肖像》(ワシントン・ナショナル・ギャラリー)

レオナルデスキ作品ではベルナルディーノ・ルイーニがダントツでレオナルド風そっくり。カラヴァッジェスキのマンフレディというところだろうか?ルイーニ作品は以前にも多々観ていたが、レオナルド工房出身ではないことを今回初めて知った。画家が作品だけを観て研究し、その技術を自分のものにする...リスペクトが無くてはできないし、吸収するにも力量が無くてはできない。ルイーニ《幼子イエスと子羊》はレオナルド風フスマート技法で描かれた作品だが、レオナルド作品には見られないほのぼのとした愛らしさにあふれた作品である。

それから、オープニングの方に展示されていたヴェスピーノによる模写《岩窟の聖母》は17世紀前半作品らしいが、当時の絵具の質や時間的経過による退色・キアロスクーロ表現を含めて、なんだかカラヴァッジョ後期作品を想起してしまった。カラヴァッジョがミラノでレオナルド作品から学んだことは多かったと思う。同時代人のヴェスピーノ作品にカラヴァッジョと共通したものを見たと思った...。

ということで、前回の愚痴っぽい内容をフォローしなくちゃと感想文を書いたが、かなり散漫な内容になってしまった。お見苦しい点はご容赦あれ(^^;

自分用忘備録

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ブログが放置状態ですみませぬ。毎日が忙しすぎて、体力・気力消耗、展覧会を観ても感想が書けない状態だった(^^;;
以下は自分用の忘備録。今年観た展覧会・美術館。

「白隠展」(Bunkamura)
「手の痕跡展」(国立西洋美術館)
「エル・グレコ展」(東京都美術館)
「時代の美−第三部 桃山−江戸時代」(五島美術館)
「尾張家の宝」(江戸東京博物館)

☆Los Angels 旅行
・ハマー美術館
・カウンティ美術館 
Bodies and Shadows: Caravaggio and His Legacy」展を含む
・ゲッティ美術館 
Florence at the Dawn of the Renaissance」展を含む
・ザ・ハンティントン・ライブラリー
・ノートン・サイモン美術館

「クラーク・コレクション展」(三菱一号館美術館)
「ラファエロ展」(国立西洋美術館)
「フランシス・ベーコン展」(東京国立近代美術館)
「遠州と不昧の美意識」(根津美術館)
「ルーベンス展」(Bunkamura)
「狩野山楽・山雪展」(京都国立博物館)
「樂 代々展」(樂美術館)
「龍村平蔵展」(日本橋高島屋)
「貴婦人と一角獣展」(東京国立新美術館)
「レオナルド・ダ・ヴィンチ展」(東京都美術館)
「麗しの漆−蒔絵と螺鈿」(畠山記念館)
「夏目漱石の美術世界展」(東京芸術大学美術館)
「ファインバーク・コレクション展」(江戸東京博物館)
「エミール・クラウス展」(東京ステーションギャラリー)
「プーシキン美術館展」(横浜美術館)
「谷文晁展」(サントリー美術館)
「幸之助と伝統工芸」(パナソニック汐留ミュージアム)
「近江巡礼 祈りの至宝展」(仙台市博物館)
「若冲が来てくれました プライスコレクション展」(福島県美術館)
「ルーヴル美術館 地中海展」(東京都美術館)
「ミケランジェロ展」(国立西洋博物館)
「モローとルオー展」(パナソニック汐留ミュージアム)
「日本とスペイン−外交史料に見る交流史」(外務省外交史料館)
「フィレンツェ トスカーナと近代美術」(損保ジャパン東郷青児美術館)
「ターナー展」(東京都美術館)
「パワーズ・コレクション展」(東京国立新美術館)
「京都 ― 洛中洛外図と障壁画の美」(東京国立博物館)
「上海美術館展」(東京国立博物館)
「伊達政宗の夢−慶長遣欧使節と南蛮文化」(仙台市博物館)
「ル・コルビジェ展」(国立西洋美術館)
「光悦−桃山の古典」(五島美術館)

私的忘備録なので、表記に誤記があってもお許しあれ(^^;;

トスカーナからトレンティーノまで(1)

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旅行に出かけてきた。残念ながらブダペストではない(^^ゞ

2月のゲッティ美術館「フィレンツェ展」で、ジョット以降のジョッテスキを知ることができた。確かに「ルネサンスの夜明け」なのだが、私には展示されている彼らの作品がなんだかつまらなかったし、ジョットからマザッチョまでの間のフィレンツェってこんなものなの?? というのが正直な感想だった。ペストによる打撃も大きかっただろうけど、パトロンたちが雅なシエナ派や国際ゴシックに走っても仕方がないよなぁ、などと厚顔無恥美術ド素人は不遜にも思ってしまったくらい(^^;;。まぁ、アメリカ・カナダの所蔵作品中心だから仕方がないのかもしれない。

そんな中、日本ではラファエッロ・レオナルド・ミケランジェロとフィレンツェ盛期ルネサンス大巨匠たちの展覧会が始まる。同時進行的に『一四一七年、その一冊がすべてを変えた』(スティーヴン・グリーンブラット著)、『アルベルティ: イタリア・ルネサンスの構築』(アンソニー・グラフトン著)、『フィレンツェの世紀』(石鍋真澄・著)を面白く読み進んだ。それに、展覧会に伴う国立西洋美術館の各講演会がとても刺激的で、バロック好き美術ド素人はすっかり「ルネサンスって何なの?」状態(笑)

で、イタリアに行って来た。主な目的は ?ジョットとプレ・ルネサンス ?ミケケランジェロ ?マンテーニャ ?隠れテーマとしてアルベルティ

事前にボローニャのFさんに連絡したら、なんと貴重な展覧会情報を頂いた。おかげで目的の教会や美術館巡りの合間に3つの展覧会まで観てしまった。

・フェッラーラ「スルバラン展(ZRUBARAN 1598-1664)」
・ヴェローナ「モネ展(Verso Monet)」
・ロヴェレート「アントネッロ・ダ・メッシーナ展(Antonello da Messina)」

いずれも素晴らしい展覧会だった!! 観ながら、こんな展覧会は日本では無理だろうなぁ、とため息をついてしまった。できたら感想を書きたい(^^;;


フェッラーラ「スルバラン展」(パラッツォ・ディアマンテ)


ロヴェレート「アントネッロ・ダ・メッシーナ展」(近代美術館)

廻った順序は、フィレンツェ⇔シエナ→ボローニャ→フェッラーラ→パドヴァ→ヴェローナ⇔ロヴェレート
(Firenze⇔Siena→Bologna→Ferrara→Padova→Verona⇔Rovereto)
トスカーナ〜エミリア・ロマーニャ〜ヴェネト〜トレンティーノまで北上するという、ちょっとしたプチ縦断となった。
さて、都市別の詳細は...

■フィレンツェ(Firenze)
・メディチ家礼拝堂(Cappele Medicee)
・ラウレンツィアーナ図書館(Biblioteca Laurenziana)
 「ボッカチオ展」を含む
  http://www.bml.firenze.sbn.it/it/giovanni_boccaccio.htm
・サン・ロレンツォ教会(San Lorenzo)
・メディチ家リッカルディ宮(Palazzo Medeci –Riccardi)
・サンタ・クローチェ教会(Santa Croce)
・サンタ・クローチェ付属美術館(Museo dell’ Opera di Santa Croce)
・捨て子養育院美術館(Meseo dello Spedale degli Inocenti)(半分閉鎖)
・サンティッシマ・アヌンツィアータ教会( Santissima Annunziata)(一部修復中)
・アカデミア美術館(Galleria dell’ Accademia)
・ウフィッツィ美術館(Galleria degli Uffizzi)
・ドゥオモ付属美術館(Museo dell’ Opera del Duomo)

■シエナ(Siena)
・市庁舎(プッブリコ宮)(Pallazzo Comnale(Pubblico))
・市立美術館(Museo Civico)
・ドゥオモ/カテドラーレ(Duomo / Cattedrale)
  「ピッコロミーニ図書室」(LibreriaPiccolomini)含む
・ドゥオモ付属美術館(Meseo dell’ Opera Metropolitana)
・洗礼堂(Battistero di San Giovanni)
・サンタマリア・スカラ救済院(Spendale Santa Maria della Scala)
・国立絵画館(Pinacoteca Nazionale)
・サン・ドメニコ教会(San Domenico)
・サン・マルチーノ教会(San Martino)は閉まっていた。

次回に続く
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