Quantcast
Channel: 花耀亭日記
Viewing all 947 articles
Browse latest View live

フェッラーラ『悲しみの青春』

$
0
0
フェッラーラのホテルでの朝食時のことだった。壁に大きなモニターがあり、映画を無音で流していることに気が付いた。アップで映し出されたのはドミニク・サンダ。『暗殺の森』かな?ん?いや、連行されるシーンは見覚えがある。そうだ『悲しみの青春』だ!


映画『悲しみの青春』(ビットリオ・デ・シーカ監督)

映画は最終シーンに向かっていた。収容された建物の窓から見えるのは…カテドラーレ、そしてエステンセ城…。その時ようやく腑に落ちた。『悲しみの青春』の舞台はフェッラーラだったこと、そしてホテルが何故この映像を繰り返し流しているのか…。


フェッラーラ「カテドラーレ」

ご報告。

$
0
0
仙台に戻った。マンションをリフォームし、引っ越しを終え、ようやく落ち着いたところだ。


定禅寺通り「光のページェント」


「せんだいメディアテーク」の中から見る

しかし、寒さ&忙しさもあり、段ボール箱の山はなかなか崩せない。ブログも更新したいのだが、資料がどの箱に入っているのか探すのが大変(^^;;。年末年始でなんとかしたいと思う。

新年ご挨拶

$
0
0
少々出遅れてしまいましたが(汗)
新年明けましておめでとうございます。
さぼりがちなブログではありますが
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

椅子。

$
0
0
マンションのリフォームに合わせ、ダイニングテーブルと椅子を買い替えた。サイズにこだわったら、結局両方とも特注になってしまった。テーブルがナラ材なので、気に入った椅子もナラで統一。


秋田木工の曲木椅子DM−AK003ナラ

どうやらハンス・J・ウェグナー「ザ・チェア」のデザインに拠るもののようだ。


ハンス・J・ウェグナー「ザ・チェア」。

オリジナルは背と肘部分を接合(ジョイント)しているが、購入した椅子は背も肘も曲げ木により1枚の無垢材で形成している。もちろんオリジナルには及ばないだろうけど、エレガントな曲線を1枚板の曲木で作ったのは技術的にも面白いと思う。それに正規輸入品に比べれば入手しやすい価格だしね。

で、ふと想ったのだった。カラヴァッジョの時代も有名画家のオリジナル作品(所謂「真作」)を飾れるのは王侯貴族や教皇庁の高位者たちだったし、入手できなかった愛好者はマンフレディやスパーダのような画家たち作品を代わりに飾って愛でたのだろうなぁ...と。

欧米各地の美術館や教会に行くと、思いがけずカラヴァッジョ作品の模作に出会うことがある。模作画家の力量はピンキリだけど、模作が多ければ多いほど当時のカラヴァッジョの人気や愛好家の存在が嬉しくなったりする。しかし、オリジナルの圧倒的な美と迫力には到底及ばないのも確かなのだ。

もしかして、購入したダイニング用の椅子はカラヴァッジェスキの椅子なのかもしれない。

羽生結弦選手 仙台凱旋パレード

$
0
0
GW初日の土曜日、仙台も快晴にめぐまれ、ソチオリンピック金メダルの羽生結弦選手凱旋パレードが賑々しく行われた。

もちろんミーハーな私も市役所前で待機(^^;。最前列にいた女の子は3日かけて作った横断幕を持っていて、 それも東京からわざわざ駆けつけたのだとか。ファンってありがたいよね。


手を振る羽生選手。ちょっとピンボケお許しあれ(^^ゞ

待つこと小一時間、オープンカー上の羽生君はにこやかに沿道に詰めかけたファンに手を振っていた。ショートプログラムで見せた両手ピストルポーズ(?)もしてくれたのだけれど、へなちょこカメラマンはシャッターチャンスを逃してしまった。残念!

暑中お見舞い申し上げます。

$
0
0
暑中お見舞い申し上げます。
すっかりご無沙汰申し訳ありません。

自分で色々と忙しくしてしまい、その上、歳のせいで身体の故障が次々に発覚、病院通いが多くなりました。先週は大腸ポリープ手術をし、あと1週間は様子見です。

美術展覧会は上京して観ています(okiさんチケットに感謝!です)。上京と言っても病院での検査が目的だったりするので、結構バタバタしながら観て廻っています。

さて、仙台では8月6日から七夕祭りが始まりました。



人が大勢出て、やはり暑かった!

暑い日がまだまだ続くようですので、皆さまもご自愛くださいませ。

バルテュスとピエール

$
0
0
NHK「日曜美術館」の再放送で「バルテュス」を見た。冒頭の映像で、アトリエに置かれたキャンバスに構図用の幾何学線が引かれていることに、「やはり!」と納得してしまった。

4月末に東京都美術館で「バルテュス展」を観た。バルテュス作品をまとめて観るとなかなかに面白い。ルネサンス好きの画家がフレスコ画的な(或いはテンペラ画的な)マチエールに拘るのはわかるし、ピエロ・デッラ・フランチェスカの幾何学的構図に触発されたような平行四辺形構図を多用するのも頷ける。論より証拠はアトリエのキャンパス!そして、描く対象は彼の偏愛する「少女」たち。



展覧会でも番組でも「誤解」としていたが、なんだかんだ言ってもバルテュスは基本的にロリコンなのだと思う。最初の妻は少女の頃に知り合ったのだし、シャシーで同棲したフレデリック(兄ピエールの義娘)も15歳、節子夫人は20歳だけど日本人って幼く見られる。でも、少女期の持つ青く危うい美とエロティシズムに魅せられたのは素直に了解される。多分、画家はその少女たちの危うさを、ぎりぎりの緊張に満ちた幾何学的構図と色彩的調和の中に永遠化しようとしたのではないか?



画中の光の中に少女たちの肢体が魅力的に映える…。モデルの少女たちは絵の中でバルテュスの扇情的ミューズとなる。

そう言えば展覧会でカラヴァッジョ《勝ち誇るアモル》によく似たポーズの作品があった。《めざめ(?)》はもしかしてカラヴァッジョの少年好きにバルテュスが共感したのかもしれない(^^;


バルテュス《めざめ(?)》1955年(スコットランド国立近代美術館)


カラヴァッジョ《勝ち誇るアモル》1601-02年(ベルリン国立絵画館)

独学で画家となったバルテュスの作品には、彼の偏愛するすべての要素が塗り込められているような気がする。

実は、その昔、私にとってバルテュスは「ピエール・クロソウスキーの弟」だった。
兄ピエールの作品で初めて読んだのが『ディアーナの水浴』。難解ながらも面白く、「見る」という行為を考えさせてくれた作品でもあった。次に読んだのは『バフォメット』。美少年登場で、幻想的かつ冒瀆的イメージの氾濫がなにやらキッチュな感じで…例えばデレク・ジャーマンの『ジュビリー』のような…。
所謂代表作は読んでいないので極私的感想だけど、作家は自分に染みついた宗教的なものを弄りまくっているような気がした。

 

まぁ、そんな兄が義理の娘を弟に押し付けるなんて、大いにあり得ただろうなぁと思うし、ある意味、似たもの兄弟...かも、などと思ってもしまう。あ、なんだか下世話な感想になってしまい、お許しあれ(^^;;

「ホイッスラー展」が楽しみ。

$
0
0
今年後半の展覧会で楽しみにしている1つは「ホイッスラー展」だ。でも、観るのは京都ではなく、横浜になりそうだけどね。

「ジェームズ・アボット・マクニール・ホイッスラー(James Abbott McNeill Whistler, 1834年-1903年)は、19世紀後半のアメリカ人の画家、版画家。おもにロンドンで活動した。印象派の画家たちと同世代であるが、その色調や画面構成などには浮世絵をはじめとする日本美術の影響が濃く、印象派とも伝統的アカデミズムとも一線を画した独自の絵画世界を展開した。」(ウィキペディア)

私がホイッスラーを初めて知ったのは、恥ずかしながら2005年のテート・ブリテン「ターナー・ホイッスラー・モネ(Turner・Whistler・Monet)」展だった。


「テート・ブリテン」入口ポスター

「Turner・Whistler・Monet」展は、今まで観た展覧会の私的ベスト10に入るほど、すこぶる刺激的だった。3者の作品を通し、3様の光への拘りと表現の違いが際立ち、光と水と大気の渦が画面から溢れんばかりだった。特にターナー作品は量・質とも圧倒的だったし、ターナーの影響はホイッスラーもモネも受けていることが了解できたし、それに後者2人はロンドンで会っているしね。

展覧会では、もちろん場所はロンドン故、テムズ川を描く作品群がメインとなっていた。(参照:「room guide」)
当時の私には、ターナーやモネの光あふれる色彩作品に比べると、ホイッスラーの《ノクターン》シリーズは地味で沈みがちに見えた。夜空や川面に映える光の繊細さや、その構図が日本の浮世絵に影響されていることがわかるようになったのは近年である。昔から比べたら少しは進歩した?(^^;


ホイッスラー《Nocturne: Blue and Gold - Old Battersea Bridge circa》(1872-5年)テート・ブリテン

テート・ブリテンの展覧会で、ホイッスラーは《ノクターン》の画家としてインプットされ、2007年にワシントン「フリーア美術館」を訪れた時、「えっ、これもホイッスラー?」と驚いたものだった。その美々しいジャポニズムに何故かうろたえてしまった私(^^;


ホイッスラー「ピーコック・ルーム」フリーア美術館

ホイッスラー《屏風?》フリーア美術館

そして今年の春、東京はラファエロ前派周辺の展覧会で百花繚乱。特に三菱一号館美術館「ザ・ビューティフル」展では「なるほど、ホイッスラーは唯美主義だったんだ!」と勉強することになる。ピーコック・ルームの成り立ちも、ラスキンとの論争も納得。
私もラスキンって好きじゃない。だって、ラスキンはカラッチ派の悪口書いてるし、アンニバレが可哀そうだもの…(^^;

まぁ、そんなこんなで、ようやく今年になってホイッスラーの全体像をおぼろげに知ることになったのだが、それでも哀しいことに、美術ド素人には「ノクターン」と「唯美主義」との間(あわい)がよく呑み込めていない。なので、今度の「ホイッスラー展」では、ぜひ「わかった!」と言わせてもらいたいのだ。そこのところ、よろしく!です。>企画者さま

大人の旅?

$
0
0
歳を重ねるごとに良い事が少なくなる大人にJR東日本がプレゼントする「大人の休日パス」。この17,000円のパスはJR東日本全区域+JR日本北陸エリアが4日間乗り放題。新幹線の指定も4回まで使える。しかも若者の皆さんは買えません(笑)

ということで、年齢だけ大人の私はパスを購入、久々の国内旅行をしてしまった♪

1日目 仙台⇒東京 ・国立新美術館「オルセー美術館展」 ・「チューリッヒ美術館展」 
2日目 ・根津美術館「名画を切り、名器を継ぐ」 ・東京国立近代美術館「菱田春草展」 東京⇒青森
3日目 ・三内丸山遺跡 ・青森県立美術館    
4日目 青森⇒七戸十和田  ・十和田市現代美術館  七戸十和田⇒仙台

タイトなスケジュールはいつものことだし、国内だから交通の便も悪くはないだろうと思ったのだが…。


三内丸山遺跡


青森県立美術館

確かに青森まではスムースに事が運んだ。しかし、新幹線駅である七戸十和田駅から十和田市の間はバスでの移動となる。ネットで調べてはいたが便数も少なく接続が不便。帰りの新幹線接続のための時間つぶしがなかなかに大変だったのだ(^^;。国内旅行を侮ってはいけませんね。


十和田市現代美術館

それにしても、疲れてはしまったが新鮮かつ充実した旅となった。パス代金はしっかり回収できたし、次回も行くぞ〜☆

国立西洋美術館で「グエルチーノ展」が!

$
0
0
今、ローマのパラッツォ・バルベリーニで「da Guercino a Caravaggio」展が開催されている。2012年秋のブログに書いた「ミラノで中止になった展覧会」であり、ローマでようやく実現されたようだ。

この展覧会はグエルチーノ偏愛の故サー・デニス・マーンに捧げる展覧会であり、故に、「グエルチーノからカラヴァッジョへ(まで)」になっているのだと思う。(普通なら「da Caravaggio a Guercino」になるはずでしょ?)

で、驚いたことに、なんと来年3月に日本でも国立西洋美術館で「グエルチーノ展」が開催されるらしい。多分、カラヴァッジョ抜きではあろうけど(^^;、せめて他のボローニャ派作品も来てほしいなぁ~>西美さま

とは言え、この展覧会は「チェント市震災復興支援」を担っているようだ。チェント(Cento)市を襲った地震は2012年春にパラッツォ・バルベリーニで観たGuercino 1591-1666」展のすぐ後だったと記憶している。当時、ボローニャやチェントは大丈夫だろうかと心配してしまったものだ。


2012年春の拙ブログで紹介した涙腺刺激作品《Cristo risorto appare alla madre》

確かに国立西洋美術館にはグエルチーノ作品があるし、地震で被害にあったチェント市を応援する意義は大きい。去年フェッラーラでドッソ・ドッシの祭壇画の被害を目の当たりにしたので、チェントの状況も察しられた。ぜひ、日本でもチェントの宝であるグエルチーノ作品をたっぷりと紹介していただきたい。イタリア・バロック好きは今から楽しみにしている。

京都物産展。

$
0
0
日曜日、街を歩いていたら、元上司ご夫妻と偶然バッタリ!ランチをご一緒しながら、市内某デパートの京都物産展の話題になった。

ご夫妻が関西支社への転勤中、せっせと京都通いをしていた話を聞いていたので、物産展でのお薦め品を尋ねた。「じゃぁ、一緒に行きましょうよ」となり、会場でお薦め品チェック。元上司ご推薦「祇園小石」と奥様ご推薦「七味」を購入。



「祇園小石」

「七味」

「七味」は汁ものに入れたら、なにやらピリッと京の味。「祇園小石」は食後にひとつぶ、ほっとする上品甘い味。おかげで、いつもとちがう夕餉になった。ご夫妻に感謝♪

それにしても、奥様ご推薦の末富「うすべに」が売り切れていたのが残念!

イタリアに行ってきた。

$
0
0
イタリアに行ってきた。今回は移動が多く、老体を酷使し過ぎてしまったようだ。疲労がなかなか取れない。寄る年波には勝てません(~_~;)

さて、今回の旅の目的だが、最初はボローニャのFさんに依頼した本『I Caravaggeschi』のピックアップと、ピエロ・デッラ・フランチェスカの追いかけだったので、トスカーナとペルージャを中心に考えていた。


『I Caravaggeschi』(SKIRA刊) 2冊組で合計の重さが6kg!


ピエロ・デッラ・フランチェスカ《サンタントニオ祭壇画》国立ウンブリア美術館(ペルージャ)

ところが、Fさん情報から観たい展覧会がいくつか出てきた。初期の日程を急遽変更、なんとか調整したものの、非効率的な移動であるのは否めない。早い時期に東京⇔フィレンツェ間の航空券を手配済みだったこと、本が6kgという重い本だったこと、あれやこれや移動に係わる縛りがあったのだ。まぁ結局、それを何とか凌いだ訳だが、やはり実際として大変だったのだ(笑)

今回の日程は...
・仙台 ⇒ 東京 ⇒ (フランクフルト) ⇒ フィレンツェ
・フィレンツェ ⇒ ボローニャ ⇒ フィレンツェ(1泊)
・フィレンツェ ⇒ ローマ(1泊)
・ローマ ⇒ フィレンツェ(1泊)
・フィレンツェ ⇒ ペルージャ(2泊)
・ペルージャ ⇒ アレッツォ(4泊)
          ・アレッツォ → サンセポルクロ → モンテルキ → アレッツォ(日帰り)
          ・アレッツォ → コルトーナ アレッツォ(日帰り)
・アレッツォ ⇒ フィレンツェ(3泊)
          ・フィレンツェ → プラート → フィレンツェ(日帰り)
・フィレンツェ ⇒ (フランクフルト) ⇒ 東京(1泊)
・東京 ⇒ 仙台

東京を入れたのは、東京で展覧会を観ているからだ。(okiさんチケットに感謝!)

出発前&到着後の東京で観た展覧会は...
<東京>
・東京都美術館「ウフィッツィ美術館展」
・東京国立博物館「国宝展」
・国立西洋美術館「ホドラー展」
・三井記念美術館「東山御物」
・松濤美術館「醍醐寺展」
・Bunkamura「夢みるフランス絵画」
・山種美術館「金と銀」

イタリアで観た展覧会は
<ローマ>
・パラッツォ・バルベリーニ「da Guercino a Caravaggio(グエルチーノからカラヴァッジョへ)」展
・スクデリエ・デル・クイリナーレ「MEMLING(メムリンク)」展


パラッツォ・バルベリーニ「da Guercino a Caravaggio」展 ポスター


スクデリエ・デル・クイリナーレ「MEMLING」展 垂れ幕
<プラート>
・パラッツォ・プレトリオ美術館「Bellini, Caravaggio, Tiepolo ei maestri della Pittura Toscana e Veneta nella Collezione Banca Popolare di Vicenza(ベッリーニ、カラヴァッジョ、ティエポロとトスカーナとヴェネト絵画の巨匠-ヴィチェンツァPOPOLARE銀行コレクション)」展

好きとは言え、どれだけ過酷な旅だったか...(笑)
と言うことで、イタリアで訪れた美術館・教会等の詳細は...続きます(^^;

東京都美術館「ウフィッツィ美術館展」を観た。

$
0
0
東京都美術館「ウフィッツィ美術館展」を観た。フィレンツェに行った後で観たら、多分がっかりするだろうと思ったからだ。案の定、お湯で薄めたミネストローネのような...(すみませんです)(^^;;;

内容としては、ボッティチェッリとその周辺、フィレンツェのメディチ家の歴史とマニエリスムの紹介といったところか。図録を見ていないので、以下の感想(?)に見当外れ等あったらお許しあれ。

作品の見どころはボッティチェッリ《パラスとケンタウロス》なのだろうけど、私的に、おおっ!と思ったのはペルジーノと工房《悲しみの聖母》だった。この《Mater Dolorosa》には明らかにフランドル絵画の影響が甚だしい。堅固な写実描写、特に白い頭巾の質感描写が「神のごとき」ペルジーノの確かな筆力を示す。だが、口元がフィレンツェ・ルネサンスっぽくて、フランドルの清冽な趣を少しく裏切ってくれる。イタリア・ルネサンスは聖母だって人間っぽいのだよね。


ペルジーノと工房《悲しみの聖母(Mater Dolorosa)》ウフィッツィ美術館(フィレンツェ)1500年頃

実は作品を観ながらに、これはロヒール・ファン・デル・ウェイデンの影響だろうか?と思っていた。が、何と、ローマの「メムリンク展」を観て、ああ、ハンス・メムリンクだったんだ!と納得した!!日を置かずローマで疑問が解けるなんて...)^o^(

「メムリンク展」での解説によると、元々イタリア(フィレンツェ)にはメムリンクの《祝福のキリスト》と《悲しみの聖母》が対の祭壇画として存在した。《祝福のキリスト》は現在ジェノヴァのパラッツォ・ビアンコに所蔵され、今回の「メムリンク展」に出展されている。一方《悲しみの聖母》は現在イギリスの個人コレクションに所蔵されている。


メムリンク《祝福のキリスト(Cristo benedicente)》パラッツォ・ビアンコ(ジェノヴァ)1485年

で、更に驚いたことに、「メムリンク展」ではメムリンク《祝福のキリスト》の隣に、ドメニコ・ギルランダイオ)による模写作品《祝福のキリスト》(1590年)フィラデルフィア美術館所蔵も並んで展示されていたのだ!

したがって、ウフィッツィの《悲しみの聖母》はペルジーノ(と工房)によるメムリンク作品の模写だということだよね。ちなみに、個人コレクションの《Mater Dolorosa》の画像は探したのだけど、不鮮明ながらこちらのサイトでなんとか見ることができる。ウフィッツィ作品をメムリンク作品とする画像が多すぎるのだ。

それにしても、ペルジーノやギルランダイオを始め、フィレンツェの画家たちはどれだけメムリンクに魅了されたのだろうね?! いや、ファン・エイク以来のフランドル絵画に、と言うべきかもしれない。

今回のローマ「メムリンク展」はメムリンクのイタリアとの関係性に焦点を当てていたので、まさにペルジーノがメムリンクからの影響を受けていることを証明する作品だとも言えよう。事前に観ていて正解だったかも。と言う訳で、「ウフィッツィ美術館展」を観ていて良かったぁ~(^^)v

フランクフルトでミントティー。

$
0
0
フィレンツェへはフランクフルト経由だった。フランクフルト空港に着き、フライトスケジュールでフィレンツェ便を確認すると、なんと1時間遅れの出発予定になっていた。

仕方がないので空港内のバールでひと休み。カウンター上のケースに美味しそうなプリッツェルが見える。プリッツェルをひとつ…それから…ハーブティーはありますか?

もちろん、と、お兄さん。やおらガラス容器から生のミント葉を掴むと、豪快にちぎり、ポットに入れ、熱湯を注いで出してくれた。空港内のバールで本格的なフレッシュ・ミントティーが飲めるなんて! 



プリッツェルをつまみながら、清々しいミントの香りに癒され、しばしの間、ほっ。

しかし、これからがまだ大変だったのだ。搭乗用の移動バスに乗り、飛行機の前に着いたのだが、なんと飛行機の整備が終了していない!どうやらタイヤに空気を注入している模様。搭乗できたのはそれから40分後である。フィレンツェ着は最初の予定より2時間遅れになってしまった。

フィレンツェ到着の午後にはボローニャでFさんと会う約束になっている。待ち合わせの時間に間に合うのだろうか?

カラヴァッジョ《恍惚のマグダラのマリア》の真作発見?!

$
0
0
ボローニャのFさんからいただいていた大事な情報を書くのをうっかり忘れていた(^^;;;

カラヴァッジョが1610年7月18日にポルト・エルコレで亡くなった時、3枚の絵を残していたが、その内の1枚が《恍惚のマグダラのマリア(Maddalena in estasi)》である。



現在コピーを含め8枚の《恍惚のマグダラのマリア》が存在するが、その1枚をロベルト・ロンギ財団のミーナ・グレゴーリが数年前から調査していた。その調査の結果、「真作である」と発表したとのこと。

http://www.repubblica.it/cultura/2014/10/24/news/e_lei_la_vera_maddalena_svelato_il_mistero_di_caravaggio-98877106/?ref=search



イタリア「レプブリカ紙」10/24付けの記事


真作裏付けとした当時の記録の写真

さて、カラヴァッジョ研究者たちの反応はどうなのだろうか? また、真作発表展覧会はいつになるのだろうか?

「グエルチーノ展」早割チケット。

$
0
0
「グエルチーノ展」のサイトで「早割チケット 期間限定・お得なチケット!」があることを知った。「前売り券よりもさらにお得なチケット」という惹句は魅力的(笑)。「早割チケット」はオンライン購入できるが、実券は国立西洋美術館のみの扱い。

と言うことで、国立西洋美術館で「ホドラー展」を観たついでに、早速購入した。


「グエルチーノ展」早割チケット

今回のチケットは種類が色々あるようで、割と地味~な画家だから、西美も色々戦略をたてているんじゃないかと思う。でも、TBSがテレビ宣伝すれば、きっと一躍「有名画家」になっちゃうんだろうなぁ~(^^;;

で、「ホドラー展」ですか? 画家の作風の変遷を知るのは面白かったですよ。「チューリッヒ美術館展」も観ていたし、先に「スイス・スピリット展」でもニーセン山シリーズが印象的だったし。なんかムンクに似ているなぁ、とか、北国の画家って象徴主義的な傾向があるんだなぁ、とか、ああシャバンヌかぁ、とか、色々...。そうそう、リズムとか平行線とか、画家の持つ幾何学的偏愛こそが個性なんだなぁ、とか...で、自分の感想が終わってしまった。つまり、心が動かされなかったということです。すみません、保守反動の古典派ですから(^^;;;

友を悼む。

$
0
0
友人のるふなさんが先週の金曜日に亡くなった。去年の3月、年度末の忙しさの中で喀血し、緊急入院した。一時は回復したかのように思われたが、入退院を繰り返し、遂に帰らぬ人となった。自分の肝臓を自分の身体の細胞が攻撃するという難病だった。

でも、私は必ず回復すると信じていた。お見舞いに行くたび、快気祝いはMちゃんの店でしようね、退院したら美味しいもの食べに行こうね…と話していたのに…。

なんでも、本音で話せる友だった。明るく聡明で、好奇心が強くて研究熱心、更にA型気質の完璧主義。O型アバウトな私はいつも頼ってばかり…。お見舞いに行っても、病人の方が気遣ってくれていた…。もう、せつないっったら! 

そんな友の喪失感はやはり大きい。でもね、無常感に襲われるからこそ、残された者はしっかりと生を全うしなくちゃと思う。

ローマ「da Guercino a Caravaggio(グエルチーノからカラヴァッジョ)」展(1)

$
0
0
ローマのパラッツォ・バルベリーニ「da Guercino a Caravaggio(グエルチーノからカラヴァッジョ)」展を観た。


「da Guercino a Caravaggio(グエルチーノからカラヴァッジョ」展ポスター

故Sir John Denis Mahon(1910~2011)は英国のイタリア美術史家でありコレクターである。日本の書籍ではデニス・マーンとの表記が多いが、展覧会場で英語の音声ガイドを借りたら「デニス・マーホン」と発音していた。なので、今回は表記を「マーホン」にしようと思うが、本当はどうなのか詳しい方はご教授あれ。


故サー・デニス・マーホン(1910~2011) 後ろの絵はグエルチーノだと思う

オックスフォードで美術史を専攻したマーホンは、1934年にパリでグエルチーノ作品を初めて購入。グエルチーノやボローニャ派の個人コレクションを形成しながら、イタリア・バロック美術の権威としてキャリアを進めていく。英国だからジョン・ラスキン(カラッチ派嫌い)の影響が強かっただろうに偉いよね(^^;。ちなみに、1990年代には自分のコレクションをボローニャやダブリンなどの美術館に寄贈している。

でも、私的にはマーホンと言えばカラヴァッジョ研究家としてのイメージが強い。“The Burlington Magazine”での真作発表論文など、センセーショナルで面白いものが多い。まぁ、晩年は真作乱発のきらいがあったけどね(^^;;;

そんな故マーホン卿の美術史家としての功績を顕彰したのが今回の展覧会だった。もちろん文字通り、グエルチーノからカラヴァッジョまで、最後の方にはニコラ・プッサン特集もあった。マーホンの偏愛し、研究対象とした画家たちの作品が並ぶ展覧会である。

展覧会はベネデット・ジェンナーリ(Benedetto Gennari)《グエルチーノの肖像》から始まった。ジェンナーリはグエルチーノの弟子である。


ジェンナーリ《グエルチーノの肖像》

う~ん、長くなりそうなので続きはまた。ちゃんと書きますから、今回は(^^;;;

ローマ「da Guercino a Caravaggio(グエルチーノからカラヴァッジョ)」展(2)

$
0
0
前回紹介した《グエルチーノの肖像》のベネデット・ジェンナーリはグエルチーノの師匠だったジェンナーリの孫で、Ⅱ世を付けて表記されることもあるようだ。

それから、残念ながら今回は覧会図録は購入していない。あの「Il Caravaggeschi」(6kg!)の重さに加えて更に書籍類を購入するなんて考えられなかったからだ。なので、自分の書き取ったメモを中心に話を進めていく。記憶違い、誤記等があってもお許しあれ。図録は国立西洋美術館のライブラリーに入ると思うので、興味のある方はそちらで見せてもらえるかも。

展覧会構成は
・グエルチーノ
・グイド・レーニ
・ドメニッキーノ
・アンニバレ・カラッチ
・バッティステッロ
・ルドヴィコ・カラッチ
・カラヴァッジョ
・ニコラ・プッサン


グイド・レーニ《アタランテとヒッポメネス》カポディモンテ美術館

まさに故マーホンの研究の足跡に沿った展示となっていた。グエルチーノからカラッチ派(ボローニャ派)を経てカラヴァッジョへ。戦後すぐの論文で扱ったプッサンを最後に交え、イタリア・バロック美術偏愛&研究の流れが一望される展覧会だ。会場の壁にマーホンの言葉が記されており、彼の美術への眼差しを言葉によって追憶できるようにもなっている。

で、いやはや驚いたことに、作品解説がイタリア語、英語の他に、なんと中国語が併記されていた(@_@;)。確かにイタリアの観光地には中国観光客がめちゃくちゃ多いが、遂にここまで来たか…と。恐るべし中国パワー(^^;;

さて、今回はエルミタージュ美術館からの作品が目立ち、特にカラヴァッジョ《リュート奏者》とドメニッキーノ《マグダラのマリアの浮揚》は展覧会のハイライトと言っても良いのではないかと思った。


ドメニキーノ《マグダラのマリアの浮揚》エルミタージュ美術館

私見だが、西美の「グエルチーノ展」はエルミタージュ美術館作品は外されるのではないだろうか?今回のローマでの展覧会と西美の展覧会の趣旨は違う。多分、2011-2012年に開催されたチェント市所蔵作品を中心にした「Guercino 1591 - 1666」展と似た構成になるのではないかと思う。

次回は展覧会の展示作品を具体的に紹介して行こうと思う。

ローマ「da Guercino a Caravaggio(グエルチーノからカラヴァッジョ)」展(3)

$
0
0
さて、展示作品を紹介しよう。まずは、故マーホンの原点であるグエルチーノから始まった。オープニングは(1)で紹介したように、ベネデット・ジェンナーリの《グエルチーノの肖像》だ。
(画題は花耀亭の翻訳なので、誤訳があってもお許しあれ)

■ベネデット・ジェンナーリ(Ⅱ世)(1633-1715)

・《グエルチーノの肖像》ボローニャ国立絵画館(マーホン寄贈)


ジェンナーリの肖像画を観ると、確かに斜視である。一説では、グエルチーノの自画像を模写したもの、との説があるが、そうであればなおさら画家の眼差しのありようが伝わってくるような気がする。

グエルチーノの本名はジョヴァンニ・フランチェスコ・バルビエーリ(Giovanni Francesco Barbieri) (1591 - 1666)。エミリア地方のチェントに生まれる。斜視のためグエルチーノと綽名される。17歳ごろにはボローニャに出てルドヴィーコ・カラッチと出会い、カラッチ派の影響下で描いていた。後にローマに出て、ボローニャのルドヴィーシ家出身のグレゴリウス15世に用いられるようになる。が、教皇の死後、チェントへ戻ることになる。

蛇足だが、ローマの「カジノ・ルドヴィーシ」はカラヴァッジョの天井画だけでなく、グエルチーノの天井画《オーロラ》でも有名だ。

■グエルチーノ(ジョヴァンニ・フランチェスコ・バルビエーリ)(1591-1666)

・《ウェヌス、マルスとクビド》エステンセ絵画館(モデナ)
 

今回の展覧会のメインの作品である。マルス(マーキュリー)とウェヌス(ヴィーナス)の間にクビド(キューピッド)が居て、観る者に向かって指さし、恋の矢を放とうとしている。豊満な肢体のウェヌスと言い、多分パトロンの嗜好に合った作品なのだろうなぁ、などとニンマリ眺めてしまった。ヴィーナスの皮膚やもマルスの鎧には画家の力の入れ具合を見たような気がする。

・《聖トマスの懐疑》ヴァティカン絵画館


キリストの傷口に指を入れてみる聖トマスに、思わず、カラヴァッジョの影響でしょ!、と言いたくなってしまった(^^;。なんだかんだ言ってもボローニャ派だってカラヴァッジョを無視できなかったはず。グエルチーノは復活後のキリストに旗を持たせる図像が多いなぁ。

・《時間、マルス、ウェヌス、クビド》エルミタージュ美術館


イタリア語が「Tempo」になっていたから「時間」と訳したが、私的にはクロノスよりもカイロスを描いているような気がするのだがどうなのだろう?クビドに網を仕掛けて捕まえているが...?まぁ、恋の狩猟には待つ時間も大切だし、捕まえるチャンスも必要だし、やはり「時間」が必要なのかも?うーん、美術ド素人には解題は無理なようだ(^_^;)。で、この作品の前に立つとカラヴァッジョ的な明暗法を強く感じるのだ。

・《ベルナルディーノ・スパーダ枢機卿の肖像》スパーダ絵画館(ローマ)


素晴らしい肖像画だと思う。枢機卿の個性が画面からリアルに立ち上がってくる。何よりも薄色の目の虹彩が際立ち、枢機卿の知的で冷たい情熱のようなものが伝わってくる。スパーダ絵画館のコレクションは枢機卿の集めた作品が基になっている。私も訪れているがボローニャ派作品が多い。グイド・レーニも枢機卿の肖像画を描いているが、私的にはグエルチーノに軍配を上げたい。絵画館にはボッロミーニの遠近法的トンネルがある(中に入ることができた!)。

・《本を持つ老人》エステンセ絵画館(モデナ)

見た瞬間、リベーラみたいだと思った。カラヴァッジョ風だったり、リベーラ風だったり、当時の流行を取り入れていたのかもしれない。ちなみに、「Vecchio」は古典古代の寓意かもしれないが、簡単に老人と訳した。

・《アビシャグの息子を復活させるエリシャ》ミラノ教区博物館

・《つばめの聖母》ボローニャ国立絵画館


聖母が人差し指につばめをとまらせて、幼児イエスに「ほら」っと見せている微笑ましい作品だ。

・《ペルシャのシビラ》カピトリーニ美術館(ローマ)

・《カルトーシュを持つシビラ》ボローニャ国立絵画館

・《アムノンとタマル》エステンセ絵画館(モデナ)


ダビデの子アムノンとタマル(旧約聖書:サムエル記下第13章1節-39節)の物語だ。アムノンがタマルに言い寄る場面だと思う。で、観た瞬間、カラヴァッジョの《女占い師》を想起。カラヴァッジョの影響大だと嬉しくなった(^^;;


カラヴァッジョ《女占い師》カピトリーニ美術館

・《ロザリオの15の謎と花輪を支える二人の有翼のプット》・サン・ジョルジョ教区教会(チェント)


チェントから出展されていた素晴らしく豪華な祭壇画である。で、中央二人は天使ではなく「due Putti」になっていた。

・《聖カルロ・ボッロメーオの奇跡》サン・セバスティアーノ教区教会(チェント)

ミこちらもチェントからの出展。ミラノのサン・カルロ・ボッロメーオですね。画像が見つけられなかったけど、構図は向かって左上から右下への斜め構図で、なんと右下には可愛い猫が描かれていたのだ♪
【追記】:ボローニャのFさんから画像紹介があり、画像を追加UPした(感謝です!)。小さいけど猫が見える。

以上がメモを基にまとめた出展作品だが、ご覧の通り、チェントからの出展は2作のみだったのだ。
Viewing all 947 articles
Browse latest View live